映画『パラサイト〜半地下の家族〜』を鑑賞。

もう少し前の話ですが、昨年12月ポン・ジュノ監督の最新作映画『パラサイト〜半地下の家族〜』を観に行きました。
今はもうDVD貸し出しでているかな。
感想がてらブログを書きました。

元々ポン・ジュノ監督の『殺人の追憶』からの追っかけでしたので、期待しながらの映画鑑賞となります。

今回ついにカンヌ最高賞パルムドール受賞につづき、アカデミー賞(作品賞/監督/国際/脚本+2ノミ)、ゴールデングローブ賞(外国映画賞+2ノミ)に輝きました。

俳優ソン・ガンホの最高の演技っぷりにゾッコンでしたので、この監督と俳優のコンビは本当に大ファンにはたまりません。


まずは、監督と映画について簡単な説明です。

ポン・ジュノ監督】

◎『殺人の追憶』『母なる証明』などのポン・ジュノが監督を務める。長編2作目の『殺人の追憶』が韓国内で大ヒットを記録し、同国の重要な映画賞である大鐘賞で監督賞・作品賞を受賞。続く映画『グエムル-漢江の怪物-』は韓国の観客動員記録を更新してアジア・フィルム・アワード作品賞などを受賞し、同国を代表する若手監督とみなされるようになりました。
その他『母なる証明(2009)』、日仏韓合作のオムニバス映画『TOKYO!』(2008年)などがあり、いずれも国際的に高く評価されます。

『スノーピアサー』(2013)でハリウッド進出を果たし、つづく『オクジャ』(2017) はNetflix製作のSF作品として広く注目を集めることになります。
そして今回第72回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞することになった韓国の現実世界を象徴するような人間ドラマの映画『パラサイト』を描いたのです。現在の韓国の裕福な家族と貧しい家族の出会いから始まる物語を描きました。


【映画パラサイト〜半地下の家族〜】

◎半地下住宅に住むキム一家は全員失業中で、日々の暮らしに困窮していた。ある日、たまたま長男のギウ(チェ・ウシク)が家庭教師の面接のため、IT企業のCEOを務めるお金持ちのパク氏の豪邸を訪ね、兄に続いて妹のギジョン(パク・ソダム)もその家に足を踏み入れる。この相反する2つの家族の出会いは、誰も観たことのない想像を超える悲喜劇へと猛烈に加速していく――。


鬼才ポン・ジュノ監督の作品だけあって、何が起こるかわからない緊張感の中、その物語の世界にのめり込んでいきました。


ちなみに日本興行収入 37.0億円(年間1位)だそうです。
やはりこの作品は、日本人も唯ならぬ興味があったようですね。


【感想】

一言、さすがポンジュノ監督!ってな感じでした。
韓国ならず日本でも起こりつつある格差社会の現実的な内面の人間の心の動きを繊細に描いたブラックユーモア満載の映画でした。

あらゆる場面で、韓国の社会に浸透する金銭的な格差のある目に見える歪みと目には見えないが社会の奥底に流れる人間的な歪みが、少し誇張気味に描かれて行きます。

象徴的なシーンは、

パク氏の豪邸から家族が貧民層の半地下のアパートに雨の中家族でずぶ濡れになりながら帰る中、長男のギウ(チェ・ウシク)が大量の雨が自分の足元を通り過ぎていきます。

その足元に流れていく大量の雨を急に立ち尽くし呆然と眺めるギウ。

そしてそのあと半地下のアパートは、大量に溜まってしまった雨水と下水道からの排水で、埋もれてしまう。

  
このシーンになんともいえない気持ちになりました。

一つの社会に


お金持ちがますます繁栄していく世界

這い上がるのがとても厳しい地下暮らしの世界


がとても近くに混雑していて、その壁は雲の上より遥かたかい。同じ人間なのに…



登場人物が、それぞれ激しい葛藤を抱えていて、見ていてなんだか自分にも思い知らされる心をかき乱される感じは、俳優陣も見事としか思えないですね。



あまりにもリアルで激しくて痛々しい。
しかしそこにこそこの現在の人間社会の真実があるのだと思うのです。



ちなみにあらゆる場面での構成など、監督の絵画的な鋭いセンスが素晴らしいです。




一度ご覧になるのをおすすめいたします。